大腸がんは、日本人にとって非常に身近ながんです。部位別のかかりやすさ(罹患数)では第1位、死亡数でも上位となっており、現代の日本人にとって無視できない病気です。
しかし、大腸がんは「早期に発見すれば、高い確率で治る」がんでもあります。初期の段階では内視鏡治療だけで完治することもあります。だからこそ、定期的な検診と、少しの変化を見逃さないことが何よりも大切です。

大腸がんの発生には、生活習慣が関わっているといわれています。赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取、飲酒、喫煙により大腸がんが発生する危険性が高まります。体脂肪の過多、腹部の肥満、高身長といった身体的特徴をもつ人は、大腸がんを発生する危険性が高いといわれています。
また、頻度は多くありませんが遺伝性の大腸がんもあります。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、近親者に大腸がんの発生が多く見られます。
早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると、血便(便に血がまじる)、下血(赤または赤黒い便がでる)、下痢、便秘、腹痛、貧血、体重減少、便が細くなる、便が残る感じ、おなかがはる感じなどの症状が現れます。
大腸がんを予防するには、食物繊維を含む食品の摂取が効果的であることがわかっています。結腸がんの予防には、運動も効果的です。
一般的ながんの予防には、禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
段階に応じて、以下のような検査を組み合わせて診断します。
便潜血検査: 健康診断で行われる「検便」です。目に見えない微量の血を検出し、精密検査が必要かどうかを判定します。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査): 内視鏡で大腸の内部を直接観察します。疑わしい組織があれば、その場で一部を採取して詳しく調べる(生検)ことができます。
注腸X線検査: 肛門からバリウムと空気を入れ、レントゲン写真を撮って全体の形や狭まりを確認します。
CT・MRI検査: がんの広がりや、他の臓器への転移がないかを調べます。
がんの進行度(ステージ)に合わせて、最適な治療を選択します。
内視鏡治療: 粘膜にとどまっている早期がんであれば、お腹を切らずに内視鏡でがんを切除し、完治が望めます。
手術療法: がんが粘膜の下まで深く入り込んでいる場合、がん周辺の腸管とリンパ節を切除します。最近では傷跡が小さく、回復が早い「腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術」も広く行われています。
薬物療法(化学療法): 手術後の再発防止や、手術が難しい場合に抗がん剤を使用してがんの増殖を抑えます。
放射線療法: 主に直腸がんに対し、腫瘍を小さくしたり再発を防いだりする目的で行われます。
Q1. 大腸がんの初期症状にはどのようなものがありますか?
A. 早期の大腸がんは自覚症状がほとんどありません。進行してくると、「血便(便に血が混じる)」「便が細くなる」「残便感」「腹痛」「便秘と下痢を繰り返す」などの症状が現れます。特に血便を「痔だろう」と自己判断して放置してしまうケースが多いため、注意が必要です。
Q2. 便潜血検査(検診)で陽性が出たのですが、必ず大腸がんなのでしょうか?
A. 陽性だからといって必ずしもがんであるわけではありません。痔やポリープからの出血であることも多いです。しかし、「がんが隠れているサイン」である可能性は否定できません。精密検査(大腸内視鏡検査)を受けることで、がんを早期に発見したり、がん化する前のポリープを切除したりすることが可能です。
Q3. 大腸がんを予防するためにできることはありますか?
A. 適度な運動、バランスの良い食事(食物繊維の摂取)、節酒、禁煙が有効です。しかし、最も確実な「予防」は、定期的な内視鏡検査でがんになる前の「大腸ポリープ」のうちに切除してしまうことです。これにより大腸がんの発症率を大幅に下げることができます。
Q4. 大腸内視鏡検査はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
A. 40歳を過ぎたら一度受けることをお勧めします。特に異常がなければ、その後は数年に1回(医師の指示による)のペースで問題ありません。ただし、ポリープが見つかった方や、血縁に大腸がんの方がいる場合は、より短い間隔での定期検査が推奨されます。
Q5. 早期発見された大腸がんは、どのような治療になりますか?
A. 極めて早期の段階であれば、胃カメラと同様にお腹を切らずに、内視鏡でがんを切り取る治療(内視鏡的切除術)だけで完治を目指すことができます。体への負担が少なく、社会復帰も早いため、早期発見が何より重要です。
皆さまへのメッセージ 「がん」という言葉を聞くと、誰しもが不安になります。しかし、大腸がんは予防と早期発見ができる病気です。40歳を過ぎたら、まずは年に一度の便潜血検査を。そして、もし「陽性」の結果が出たり、お腹に違和感を感じたりしたなら、怖がらずに精密検査を受けてください。その勇気が、あなたの未来を守ることにつながります。